2023.04.29
インテリアのはなし「名作椅子」 “ト―ネット「No.14」(214)“
こんにちは。リフォームガーデンヤマガタヤです。
みなさん、家具はお好きですか? 家具の中でも身近な存在の「椅子」は、部屋の片隅に置いても絵になったり、小さくてもインテリアのポイントになりますね。世界で「名作」と呼ばれている椅子を暮らしに取り入れやすいデザインのものから、時々ご紹介したいと思います。
価格的に置けるかな…というのは残念ながら別ですが…^^;
ト―ネットの曲木椅子「No.14」(現「214」)
「214」フレーム:ビーチ材(ブナ材) 座:ラタン(籐)サポートメッシュ(裏面の補強ポリエステルメッシュ) 塗装:ステイン塗装 各色
シンプルでどこか懐かしいデザイン、背もたれの曲線と、後ろ脚のそりが柔らかなイメージですね。
「コーヒーハウスチェア」とも言われ、ヨーロッパに旅行に行くとカフェや飲食店など、このデザインをベースとした椅子をとても良く目にします。
1859年に発表された「No.14」は、ドイツの家具職人だったミヒャエル・ト―ネットが蒸気で木を曲げる技術を確立したことにより、世界で初めて椅子の大量生産を実現させた歴史的な椅子と言われています。
THONET(ト―ネット)社は、1819年にトーネットがドイツ ボッパルトで創業した工房から始まり、現存する世界で最も古い家具ブランドの一つとされています。中でも、1859年に発表された「No.14」は世界最大級のヒット商品となり、発売以来、百数十年後の現在に至るまで生産され続け、現在も「214」という名前で購入できます。
19世紀半ばというと日本は江戸時代末期、そんな昔にデザインされた椅子が、製法は時代とともに進化しながらも、今も世界中で愛用されているとは、すごいですね…
サイズは、W430mm×D520mm×H840mm×SH(座面の高さ)460mm 重量2.7kg
6つのシンプルな部材で構成されており、背もたれ部分のデザインのみを変えるなど部材の汎用性も高く、多くのバリエーションの椅子が生産されました。
シンプルで機能的ですが、ゆるやかな曲線が優美ですね。
当時の上流階級向けの洋式家具の流れを変え、家具製造業界やデザイナーに大きな影響を与えた一脚とされています。
ト―ネットの曲木椅子が歴史的な椅子と言われている理由は、“無垢材を蒸して曲げる“という技術面だけでなく、製造、販売や販促など企業経営という面からでも革新的であったことが挙げられます。
曲木の技術によりデザインの幅が広がり、量産化が進んで価格の安定に繋がったことや、シンプルな構造の部材をコンパクトに梱包し、現地の販売拠点に送って組み立てる「ノックダウン方式」を取り、輸送コストを削減するなど「軽くて 丈夫で 美しくて 安い」という特徴を基本とし、様々なバリエーションの椅子が量産されて各国へ普及していきました。
例えば「No.14」は、6つの部材で構成されており、1㎡の箱に36脚分の部材が収納できたそうです。
「214」とは違うものになりますが、無印良品で「ブナ材曲木チェア」として、トーネット社と共同デザインを行った椅子を出しているようですよ。
座面は板と籐張りがあり、ブラウン・ナチュラルの2色展開です。
当時は「軽くて 丈夫で 美しくて 安い」量産できる椅子だったのでしょうが、現在のト―ネット社の「214」は、板張りの座面で一脚15万円前後~と、なかなかのお値段です…
とはいえ、シンプルで普遍的なデザインだからこそ、19世紀半ばから今の時代でも世界中で愛され、使われ続けているのでしょうね(^^)
画像 ト―ネット社 公式サイト
参考 「名作椅子の由来図典」西川栄明著
「CASA BRUTUS EXTRA ISSUE 名作椅子と暮らす。CHAIR LIFE」マガジンハウス その他